学校からのお知らせ
Vol.17 「風が運んだあの日の記憶」
2008/08/26
年に1回、授業で森山良子さん(森山直太朗さんの母親)の『さとうきび畑』 を取り上げていますが、毎回、メッセージの深さに感銘を受けております。
第二次大戦下、日本で唯一住民を巻き込んだ沖縄の地上戦の悲惨さ、むごさを伝えた唄。1967年(昭和42年)、歌手の田代美代子さんによりコンサートで 初演されています。1969年(昭和44年)に森山良子さんがアルバムに録音したのが最初のレコード化です。あまり知られていませんが、1975年にはNHKの音楽番組「みんなのうた」で、ちあきなおみさんの歌唱で紹介。
世代、ジャンルを超えた多くの歌手に歌われ、多くの人に愛されている名曲は、この地上戦を、決して忘れてはならない大切なことを伝えてくれます。今で も、沖縄の美しいさとうきび畑の下には、無数の戦没者の遺骨が埋もれたままになっています。沖縄戦で父親を失った、一人の子どもの唄。戦争が終わった日、 生まれたその子はとうとう父の顔を見ることも、声を聞くことも、抱かれることも、そして「お父さん」と呼ぶことも出来なかった。父は、なぜ殺しあったのか、なぜ殺されたのか、なにを恐れ自決したのか。「ざわわ、ざわわ」と風が通り抜けるたびに、さとうきび畑は、森山さんのやさしく切ない歌声に乗せて私たちに訴えかけます。